
かつてインドネシアの首都ジャカルタに「人の車に乗るだけ」という特殊な仕事がありました。今回は、この不思議な仕事について解説します。
きっかけは、交通規制
ジャカルタは、美しく素晴らしい文化がある街である一方、世界でも有数の交通渋滞で有名な都市です。(以前、日本よりすごい?世界の「交通渋滞が凄まじい都市」5選でもご紹介させていただきました。)その、渋滞緩和のため、都心の主要道路の一部で、平日のラッシュ時間帯に3人未満の私用車は通行できない「3 in 1」(スリーインワン)政策が行われていました。1992年ごろには導入され、少なくとも2010年代半ばまで、朝夕の混雑時間帯に運用されていたようです。
そこで生まれたのが「人数合わせ」の仕事
この規制を通りたいのに同乗者が足りない運転手に対し、道端で声をかけて車に乗り、人数を3人に見せることで通行を助ける人たちが現れました。これがカージョッキーです。仕組みはとても単純で、運転手は現金を払い、ジョッキーは規制区間を抜けるまで同乗する。渋滞の激しい都市ならではのかなりユニークな仕事でした。
2016年に停止、同年8月に別の制度へ
ジャカルタ州政府は2016年4月、まず「3 in 1」の一時停止に踏み切り、その後、5月に正式廃止を発表しました。背景には、未成年の子供もこの仕事に参加するなどいくつか問題があったとされています。
さらに同年8月には、旧3 in 1区間の多くで、今度はナンバープレートの奇数・偶数で通行日を分ける「奇偶規制」が導入されます。
渋滞はなくならない
興味深いのは、「3 in 1」には問題が多かった一方で、制度をやめたあとの渋滞が悪化したとする研究もあることです。ハーバード大などの研究チームは、制度廃止後、対象道路だけでなく市内全体で交通状況が悪くなったと報告しています。インフラを拡張したり、車そのものが減らない限り、渋滞の解消は難しいのかもしれませんね。
まとめ
ジャカルタのカージョッキーは、渋滞の激しいジャカルタの交通規制が思わぬかたちで生んだ、都市の裏側の仕事でした。「3人乗車しない車は通れない」というルールがあり、それを通るための人数合わせとして人が雇われる。制度としてはかなり特殊ですが、実際に存在し、制度見直しとともに姿を消しました。
日本でも高度経済成長期には都市部の渋滞が深刻でしたが、道路整備や交通インフラの拡充、自動車利用の変化などによって、当時ほどの混乱は見られなくなりました。時間をかけて少しずつ、世界中の都市の渋滞は解消していのかもしれません。
